複数の勤務先で働いていると、毎月発生する「シフト表からGoogleカレンダーへの転記」が意外と大きな負担になります。
今回はClaudeとGoogleカレンダーを連携し、シフト表のスクリーンショットを送るだけで予定登録できる仕組みを構築しました。
1. 何のために(背景・課題)
パラレルワークで複数店舗のシフトに入っていると、次のような「地味だけど地味に消耗する作業」が発生します。
- シフト表アプリのスクリーンショットを見ながら、日付・時間をGoogleカレンダーに手入力
- 応援勤務(他店舗への応援)が入ると、どの店舗に何時から入るかを別途覚えておく必要がある
- 転記ミスによるダブルブッキングのリスク
- 「休み」の予定も含めて管理しないと、プライベートの予定と衝突する
これは典型的な**「価値を生まないのに時間を奪う作業(ノンコア業務)」**です。DX支援の文脈でよく言う「業務改善」を、まず自分自身の働き方に適用してみることにしました。
目的を一言で言うと:
シフト表のスクリーンショットをAI(Claude)に送るだけで、Googleカレンダーへの登録が完了する状態を作る。
2. 何をしたか(実装した仕組みの全体像)
Claude と Google カレンダーを連携させ、以下を自動化しました。
Before / After表
| Before | After |
|---|---|
| スクショを見ながら1件ずつ手入力 | スクショを送るだけ |
| 応援先店舗を自分で判断 | AIがルールに基づいて判定 |
| 休み・出勤の色分けを毎回設定 | 過去の登録ルールを踏襲 |
| 重複予定を手動確認 | 登録前に既存予定をチェック |
ポイントは「AIに丸投げ」ではなく、判断基準(ルール)を明文化してAIに渡したことです。感覚的にやっていた作業を言語化するプロセス自体が、業務設計の見直しにもなりました。
3. どうやって実装したか(実装ステップ)
Step1:Googleカレンダー連携
Claudeのコネクタ機能でGoogleカレンダーと接続。これにより、チャット上の指示だけでカレンダーの予定を検索・作成できる状態にしました。
Step2:既存データからルールを逆算する
いきなり「このルールで登録して」と決め打ちするのではなく、過去に自分が手入力した予定を検索させ、そこからパターン(色分け・命名規則)を抽出させました。
- 出勤予定 → 色指定なし(カレンダーのデフォルト色)
- 休み系(公休・希望休・計画休暇)→ トマト色・終日・空き時間扱い
これにより「思い込みで新しいルールを作ってしまい、過去の予定と表記がバラバラになる」という事故を防いでいます。
Step3:カレンダー設計の意思決定
「シフト専用カレンダーを分けるべきか」も検討しました。判断基準は感覚ではなく、**「表示・非表示をまるごと切り替えたい単位かどうか」**という一点。
- 物理稼働(現場に体を拘束される予定)は、パラレルワークで職場が変わっても「ダブルブッキング防止」という目的は共通
- Googleカレンダーは1つのカレンダー内でも予定ごとに色分けできる
- → カレンダーを分けず、メインカレンダーに統合(管理対象を増やさず、効率を優先)
Step4:抽出→確認→登録の3段階フロー
スクショから日付・時間・応援先店舗をAIが読み取り、一覧表にして必ず人間が確認してから一括登録する設計にしました。これは「重要な処理は実行前に確認する」という安全性の観点です。
実際の登録は以下の2種類:
- 出勤予定:日時+店舗名+場所を指定してイベント作成
- 休み予定:終日・トマト色・空き時間として作成(既存の休み予定との重複は事前チェック)
4. 何を改善したか(Before/After・得られた学び)
改善点①:作業時間の削減
シフト確定〜カレンダー反映までが「スクショを送る」だけで完結。手入力による転記作業がほぼ不要になりました。
改善点②:ルールの言語化による再現性
「応援は基本◯◯店、例外は都度確認」「休み系はこの色」といった暗黙知だった判断基準を明文化したことで、次回以降は同じ質問を繰り返す必要がなくなりました。これはAI活用に限らず、業務の属人化を解消する際の基本と同じアプローチです。
改善点③:意思決定の基準を「効率」に統一
カレンダーを分けるかどうかの議論で、「なんとなく分けた方が良さそう」ではなく、「表示切り替えの必要性」という具体的な判断基準を立てたことで、後から見返しても納得感のある設計になりました。
今後の改善余地(仮説)
- 現状は「確認→登録」の2ステップだが、信頼性が十分に高まれば、確認なしの完全自動反映(スキル化)も可能
- 複数の勤務先・複数フォーマットのシフト表に対応できれば、同じ仕組みを他の職種・他のユーザーにも横展開できる
まとめ
この仕組みの本質は「AIにシフト表を読ませた」ことではなく、**「自分の判断基準を言語化し、AIと共有できる形に落とし込んだ」**ことにあります。
AI活用の効果を最大化するのは、ツールの性能そのものより、業務プロセスをどれだけ明確に設計できるかにかかっている——という、DX支援でよく伝えている考え方を、身をもって再確認できた事例でした。
AI活用というと「何を自動化できるか」に目が向きがちですが、本当に重要なのは、その前段階にある**「人間がどのような基準で判断しているのか」を整理すること**です。
業務を言語化し、ルールとしてAIに渡せる状態にする。
その設計ができて初めて、AIは単なる便利なツールではなく、業務を支える仕組みになります。






