秘書業務で付き添いをしていると、その日によって行き先が大きく変わります。
午前は病院、午後は役所、そのあと別の場所へ――。
こうした日が続くと、月末になってから、
「この日はどこへ行ったんだっけ?」
「車だったか、電車だったか?」
「結局、交通費はいくらだった?」
と予定を振り返りながら精算する作業が、地味に大きな負担になっていました。
そこで考えたのが、すでにGoogleカレンダーに登録している「場所」の情報を、そのまま交通費計算に使う仕組みです。
目的はシンプルで、同じ情報を二度入力しないことでした。
Googleカレンダーを交通費計算の元データにする
普段からGoogleカレンダーには、
- 日時
- 訪問先
- 場所
を入力しています。
つまり、交通費を計算するために必要な情報の多くは、すでにカレンダーの中にあります。
それなら、新しく交通費精算用のデータを入力するのではなく、カレンダーにある情報を再利用すればいいと考えました。
実際に仕組みを作ってみると、車移動と電車・バス移動では、自動化できる範囲がかなり違うことも分かりました。
車移動はかなり自動化できる
車で移動した場合は比較的シンプルです。
Googleカレンダーから当日の訪問先を取得し、
訪問地点 → 次の訪問地点
までの距離を計算します。
あとは、その距離にあらかじめ設定した1kmあたりの単価を掛ければ交通費を算出できます。
今回は運用を複雑にしないため、車種や燃費ごとに細かく分けず、37円/kmを社内計算上の基準値として設定しました。
たとえば移動距離が20kmなら、
20km × 37円 = 740円
という形です。
カレンダーに場所さえ正しく登録されていれば、距離の取得から交通費計算まで、かなりの部分を自動化できます。
電車・バスは「半自動」にした
一方で難しかったのが、電車やバスです。
Suicaの利用履歴をそのまま外部サービスから自動取得して処理する仕組みを作るのが難しかったため、ここは完全自動化を諦めました。
代わりに、
Suicaの利用履歴を出力するところだけ人間が行い、その後の処理を自動化する
という形にしました。
流れとしては、
Suica利用履歴を取得
→ データを読み込ませる
→ Googleカレンダーの予定と日時を照合
→ 該当する移動を判定
→ 交通費データとして整理
という形です。
すべてを人間が確認する必要はなく、自動化できない入口部分だけ手作業として残す設計にしました。
Before / After
| Before | After |
|---|---|
| 月末に訪問先を思い出す | Googleカレンダーから予定を取得 |
| 車の移動距離を自分で確認 | 地点間距離を自動計算 |
| 交通費を電卓で計算 | 距離×単価で自動算出 |
| Suica履歴と予定を手作業で照合 | 履歴取得後の照合を自動化 |
| 月末にまとめて精算 | 日々の予定入力がそのまま精算データになる |
結果として、一番負担だった**「月末に1か月分の行動を思い出しながら交通費精算書を作る」作業がほぼなくなりました。**
Googleカレンダーに予定を登録した時点で、交通費精算に必要な情報の大部分がそろっているため、交通費精算そのものが独立した仕事ではなく、普段の予定管理の延長になりました。
全部を自動化しなくてもいい
今回やってみて一番大きかった気づきは、完全自動化を目指す必要はないということでした。
車移動はかなり自動化できます。
一方、公共交通機関については、外部サービス側の仕様などによって、どうしても人間の操作が必要になる部分があります。
そこで無理に100%の自動化を目指すのではなく、
人間にしかできない部分は残し、それ以外をAIやシステムに任せる
という形にしました。
たとえば、
100の作業を100→0にすることが難しくても、100→10にできれば十分大きな業務改善
です。
最後の10を自動化するために複雑なシステムを構築するより、10だけ手作業として残した方が、費用・管理・トラブル対応まで含めると効率的な場合もあります。
まとめ
今回の仕組みで重要だったのは、交通費計算そのものよりも、「すでに入力しているデータをもう一度使えないか」と考えたことでした。
Googleカレンダーには、日時・場所・行動予定という業務データがすでに蓄積されています。
そこにAIや自動処理を組み合わせれば、
予定管理 → 移動記録 → 交通費計算 → 経費精算
という、それまで別々だった作業をひとつの流れにまとめることができます。
DXやAI活用では、何でも新しいシステムに置き換える必要はありません。
今すでに使っているツールやデータをどう再利用するか。
どこまで自動化すれば十分ラクになるのか。
そこを考えるだけでも、日々の小さな業務はかなり軽くできると感じました。
些細なことでも、「これAIで効率化できないかな?」と考えてみるのが、少しずつ時間を確保できるきっかけになるかもしれないですね。





